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Matchless Model X/2

以前から交渉していたトレードが成立して往復400kmの道のりをワクワクしながら運んで来た。
所有者のご夫婦にはその町一番の高級な割烹で昼食までご馳走になってしまった。
また素晴らしい出会いがバイクを通じて出来た事に感謝しなければならない・・・



メンテナンス台がまだ空かないのでトランポに積んだままの状態。
Vツインの1000ccモデルはカッコイイ
1907年 記念すべく第1回及び第3回のマン島TTレースにおいて「M社」は単気筒クラス優勝
1928年からはガソリン燃料に変更されたため、TTレース向けに作られていくV型エンジン、そしてサイドカー用モデルとしても排気量を増していく。
1910年代の半ばまではJAP製エンジンを積んでいたが、その後は自社製のエンジンとなり戦後再開されたレースにおいても1931年に倒産したAJSを吸収合併とし、数々の勝利を挙げている。

資料が少ないので、これから調べる事がたくさん有る。
この画像はコンペティション・モデルなのか・・・

ジョセフ・ルーカスのアンメーターがライトケースの真後ろにセットされている。
とってもカッコの良い物だ。

サイドバルブ・エンジンのヘッドには何とスターティング・ホールが付いている。
英国も寒い地域が有るし、サイドバルブという構造だから圧縮比が低いので、キャブレターのファンネルを手で塞いだだけでは中々GASを吸い込まないのだろう。これが付いていればレバーを上げて直接燃焼室に生GASを注入出来る。そうすれば厳寒期の始動も可能だ。まさに発動機である。こういう部品がまた、いちいちカッコイイものだ・・・

油量調整ダイアルもカッコイイなあ
メモリは「1〜8」まで
残念ながらアッパーガラスは割れていた。

初期型のようでプラグがヘッドサイドに設けられている。後期型はヘッドの真ん中だ。僕はSVエンジンでプラグがホリゾンタルに 付いているのを見たのはこのエンジンが初めてだ。

後期型はタペットが外側から見えないように四角いカバーが両方に付いているが、あまり評判は良くない。
やはり後設計になるので初期型の方がカッコイイというのは日本のバイクデザインでも同じだ。

残念ながらマイルメーターは欠品で、フロントからの取り出し用スプロケットは付いていた。


逆レバーは国産でも良く見かけるが左側のダブルレバーは初めてお目にかかった。

バンク角を稼ぐために後方をアップとしたフィッシュテールもこのマシーンの特徴だ。

手で出すサイドスタンドも御愛嬌かな

アマルのレーシング・キャブみたいだなあ・・・

今、僕の頭の中は当時のバイク作りに携わった男達のロマンで溢れている

この頃の日本では、まだ牛や馬で畑を耕している時に、もはやこれだけのバイクを生産し、そしてレイスをしている国が有るなんて

戦前の大英帝国の強さを改めて知らされた・・・